■ コンクール・オーディションについて ■

 

日本ショパン教会北海道支部地区委員・日本ピアノ教育連盟会員として、多くのコンクール・オーディションの審査をさせていただきました。

 

コンクール・オーディションを否定するつもりは毛頭ありませんが、私は中学生以下のお子様のコンクール・オーディションに参加するようなレッスンはしませんので、ご希望のかたは参加対応のレッスンをしてくださる先生をおすすめいたします。

 

ただし、例外として王立音楽検定(ABRSM)の検定のみ対応いたします。

 

コンクールを受けることが励みになって、さらに頑張るお子さんもいるでしょう。

ただ、残念ながら長年のコンクールへの挑戦が必要以上にお子さんを消耗させてしまって、

ピアノ嫌いになってしまったお子さんがお母様に連れられてレッスンに来たことも

一度ではありませんでした。

 

コンクール・オーディションに対応しない大きな一番の理由は、緊張感漂う会場で、

人と同じ曲を弾いてそれを審査されるという雰囲気に、私自身なじめないからなのです。

(自分はやっていたのですけど・・・)

せっかく頑張って練習してきたのに、拍手があるわけでもありません。

緊張して間違ったりしたお子さんだって、きっと一生懸命に練習してきたに違いないのですしね。

それでも、点数を付けなくてはならないのが本当に苦手でした。

 

ただ、本当に音楽の道に進みたいのなら、高校生以上はコンクールも必要でしょう。

それでも、数曲しか課題曲のない日本の学生コンクールはあまりお勧めできません。

 

本当に音楽の道に進みたいのであれば、10代はとにかくレパートリーを増やす大事な時間です。

コンクールを受けるくらいなら、リサイタルをするべきだと思います。

数曲を完璧に弾きこなせるようになるより、あらゆる時代のさまざまな形式の曲を譜読みして、

7割がた完成させるというプロセスを続けるべきです。

(これに関しては、ベートーヴェンのソナタをいつもみて頂いていた

王立音楽大学の副学長でいらしたケンドル・テイラー先生も、

同じようにおっしゃっていて嬉しかったです)

 

また、その子の本当の才能と言うのは、二十歳を過ぎて自分で感じ考えて弾けるまで

わからないと思います。

(これも、確か有名な音楽大学の学長先生がそうおっしゃっていたと記憶しています。)

私は、大人になった時に自分できちんと譜面を読み。そして考えてピアノを弾けるように、

自分で感じ考える力がつくようにレッスンすることが大事だと考えます。

 

残念なことに、例えば小中学生で華々しく活躍していたお子さんが、

ある時期からさっぱりお名前もきかなくなる・・・ということが少なからずあります。

私は、毎年1回の発表会で成長を披露することができれば、

小中学生のうちは十分だと考えています。

例え失敗しても、観客のみなさんに「頑張って弾いたね!」と暖かい拍手がいただけますしね。

 

個人的には、生徒には音楽の道はすすめません。

でも、例外もあります。唯一音楽の道を勧めたのは、中学から吹奏楽部にのめり込んでいて、

本当に寝ても覚めてもトロンボーンに夢中になった子で、

「そんなに好きなら学校の音楽の先生になって吹奏楽の指導をするのもいいかもね。」

と言いました。

中学時代も、ピアノの練習はまったくしないまま、それでも毎週通ってきていて、

「あのころは、毎週初見の練習してました!」と言っていました。

ピアノ・聴音・ソルフェージュなど、専攻のトロンボーン以外のすべてを

受験まで教えましたが、今は北海道で中学校の先生をしています。

 

また 音楽の道はすすめていないのに 結局は海外へ飛び出して行った生徒もいます。

自分で考えて つかみ取った選択は 素晴らしいと思います。

そんな生徒たちはとても頼もしく 輝いて見えます。

 

コンクールやオーディションを受けなくても、演奏を披露する機会はあります。

どうせ練習するなら、決められた曲ではなく好きな曲・気に入った曲を

頑張って練習して弾けるほうが楽しいのでは?と個人的に感じます。